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難民問題とは何か? アフガニスタン難民からの教訓
http://hdl.handle.net/10959/00004972
http://hdl.handle.net/10959/00004972e7f44424-a318-4b21-90ad-d2af36f8acf4
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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thesis_O175.pdf (6.3 MB)
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abstract_O175.pdf (268.4 kB)
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ref_abstract_O175.pdf (479.7 kB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2021-06-07 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 難民問題とは何か? アフガニスタン難民からの教訓 | |||||
言語 | ja | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | ナンミン モンダイ トハ ナニカ アフガニスタン ナンミン カラノ キョウクン | |||||
言語 | ja-Kana | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_db06 | |||||
資源タイプ | doctoral thesis | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | open access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||
著者 |
高嶋, 由美子
× 高嶋, 由美子× Takashima, Yumiko |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 難民は一般に紛争や戦争から逃れてき人々とされ、そのやむなき事情により他の移動する人々と比べ特別な法的枠組みで保護されている人々を指すとされる。近年、難民の絶対数の増加し、難民の移動先が多様化し、また、難民状態が長期化することにより難民の受け入れが国内政治の論点として取り上げられるようになった。更に、大多数の難民を受け入れている開発途上国での難民受け入れ国の負担が強調され、難民に対して短期的な人道支援だけではなく、中長期的な開発支援の枠組みを適応することで最初に難民を受け入れた国が難民を受け入れ続けるような支援を行う機運が高まっている。国際連合で難民の支援及び恒久的解決方法に関する国家間調整を担う任務を持つ国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)の統計では、2018年末に世界には2590万人の難民が存在し、その84%は近隣国である中・低所得国に逃れるとされる。 ここでの難民は、1951年の難民条約に基づく定義による人々で、自らが属する人種、国籍、宗教、社会グループや自らの政治的言動により、自国や国家に類似した集団から迫害され、自国の国境を越えた人々である。更にアフリカやアメリカ地域では、地域の枠組みにより戦争や国内紛争から逃れてきた人を難民と定義する。難民の宣言性の原則では国境を越えた時点で自分が難民だと考える人は難民となれるが、難民の法的地位とそれに付随する支援を享受する為には、難民受け入れ国に庇護申請をし、難民受入国やUNHCRが行う難民審査に通過しなくてはならない。それ故に、難民になりたいと考える庇護申請者と呼ばれる人々は、世界142カ国で通常ならば入国の際に必要な手続きや審査無しに入国が認められるノン・レフールマンの原則が適応され、入国後に難民審査を受ける権利が与えられる前提がある。難民は、自国から法的な保護を受けられない為に、受け入れ国家および国際難民保護レジームと呼ばれる国際機関や非国家団体による国際的保護が必要な人々とされる。 しかし、何故難民の法的地位とそれに付随する支援を得る為に受け入れ国家の承認が必要なのか?本稿では第一次世界大戦後のロシア難民に見られるように主権国家の矛盾を解決する方法の一つとして難民の選択的な受け入れを行い、難民を他の移動する人々と区別することにより選択的な受け入れを正当化することを指摘する。難民審査によって難民とみなされない庇護申請者は、受け入れ国に合法的に滞在できない。更に、難民の地位を得られたとしても、国際・地域条約に定めれている難民が享受できる上限として、受け入れ国の国内法では何らかの制約、例えば、移動や就職の自由が制限されている。難民の三分の二は難民キャンプ以外の都市部で生活しており、移動や就職の自由がない場合多くの難民が劣悪な就労条件にあり非正正規な仕事に就く以外の選択肢はない。また、難民の支援に目を向ければ、現在5歳から17歳の難民の子供の約370万人が学校に通っていない。世界平均で小学校の就学率は91%であるが難民の子供は63%、中学校では84%の世界平均に比べ、難民の子供は24%、高等教育になると37%の世界平均に比べ、難民の子供は3%しか教育の機会が与えられない。 実際に、難民を含む人の移動は歴史上常態である。人間の祖先がアフリカ大陸から世界に移動していったように、紀元前550年ごろから見られたペルシャ帝国による征服から逃れる人々、1562年に勃発したとされるユグノー戦争に見られる宗教的な迫害を逃れてフランスからイギリス、オランダ、南アフリカ、などに渡る人々、1750年以降英国から独立前の米国やその後オーストラリアへ囚人対策そしてその後金塊発掘を目的として移動する人々、1850年以降のジャガイモ飢饉によるアイルランドから米国・新天地に移る人々、1858年にインド帝国として英国から植民地政策の下に新たな機会を求めて移動する人々などと、色々な理由で人々は移動を重ねてきた。 同時に移動する人々をめぐる環境は歴史上、大きく変化してきた。技術革新による大量輸送の実現およびコスト削減、交信技術向上による情報の拡散により移動がより広域に可能になる状況が出来た。しかし、同時に主権国家が国際システムの基本単位として活用されるようになり、誰が国家の一員をなすか、なさないか決める権利を得ることになった。その中で基本的人権としての人の移動する自由と主権国家の特権としての人の受け入れ制約の合間で、難民は他の移動する人々と異なり、主権国家に受け入れ審査されるという特権的な立場を得ることになった。その根拠として難民は紛争や戦争により移動を強いられた人々であるという理由である。 だが難民は果たして他の移動する人と全く異なった人々なのか?他の移動する人と難民の違いは何であろうか?難民は移動を強いられた人々なのであろうか?そもそもその法的地位を得るための難民審査はどのように行われるのであろうか?また難民の保護を目的として設立された国際的難民保護レジームは何故難民が発生しない活動ではなく、主権国家間の調整を行っている。本来、主権国家は自国の国民を保護することを前提に国際システムが成立されている。しかし、難民はそのその主権国家がある特定の国民を保護しないという矛盾から発生している。また、すべての国民に対して保護をすることが出来ない国、例えば治安が保証されない、最低限の生活が出来ないそのような国へと難民状態にある人々を「自主帰還」させることは、誰のための難民の恒久的解決方法なのであろうか? 実際に、紛争や迫害がなくなり自国に自らの意思で難民が発生した自国に帰る自主帰還、逃れた先の受け入れ国で市民権を受けその国の保護を受ける地域統合、そして難民の受け入れを表明する第三国に移住する第三国定住が一般に難民の恒久的解決方法とされてきたが、それは難民全体数の3%にも及ばない。「難民は紛争や戦争によって祖国を追われた人々」という定義は分かり易いが、実際に紛争や戦争にはそれに至るまでの展開があり、危機は段階的にある程度の時間をかけて迫ってくることが多い。難民や庇護申請者の人々から見れば、必ずしも生命の危険が明白になるまでその土地を離れないというリスクを冒すよりも、今までの経験などから生命の危険に陥ることのないように予防的行動としてその土地を離れることを選ぶかもしれない。また、家族がいつも一緒に行動するということではなく、危険の分散の為に家族がバラバラになって行動するかもしれない。そして、それは生まれた祖国、通常時働く国、家族の一部が住む国、他の家族が住む国と地域、国、大陸を超えて分散しているかもしれない。このような意味で難民は自らの意思により能動的により良い将来を選ぶ行動主体である。 現在、五年以上難民状態にある人は全難民の78%、つまり、1,590万人に当たり、そのうち580万人は二十年以上そして、240万人のアフガン難民は四十年以上難民状態にある。本稿では、何故、このように長期にわたり難民が存在するのか、そして、難民の解決方法とは何かを探求する。これらを考察する為、本稿ではまず難民とは誰なのかを明確にする。それにより国際機関や主権国家が主張するように難民と他の移動する人々とを分類する事が可能か、その分類にどの様な意味があるのか、更には分類する必要性は何であるのか、を人の移動や難民の先行研究から読み解く。そこでは、自国民と他の人を区別し、人の移動を規制する主権国家にとっては必要不可欠の概念だが、そのような区分は実際には曖昧模糊で、更には実際に移動する人にとっては無意味であるという仮説を立てる。その様な区分は、主権国家を元とした国際システムが、国家の統治能力に関わらず国家の主権を尊重し、国家の特権として国家が誰を受け入れるかをいう権利を有するという前提とするためには必要不可欠である。人の移動は難民や国内避難民等の強制移動と旅行者や移民のように自由意志による移動に分類され、前者は国際的な保護が必要な人々である。後者は本来ならば自国で生活出来るが、自らの意思で他国に行くことを選んでいる為、いつでも自国に戻ることが可能だとする。しかし、その前提となるのは、自由意思であり、それが本当に自らの意思のみで決定できるのだろうか?また、帰る自国に本当で国家の保護が得られるのだろうか?果たして人々の脆弱性や支援の必要性は、国境を超えるか超えないか、国内の場所を移動するかしないかの区分で計れるのか? 第一章では人の移動と難民の先行研究を整理し、その問題点を指摘する。第二章ではアフガニスタンの移動の歴史的傾向とその特徴を整理し、その移動の継続性、移動動機の複合性、移動を誘引するショックに対する人々の反応の相違性などを指摘する。第三章ではアフガン人の移動の一例であるアフガン難民に焦点を当て、人々が実際どのように難民になり、難民でなくなったのかを明確にする。そして、第四章では伝統的な難民の解決方法は難民の法的地位、ひいては国家の視点での難民解決方法とはなるが、難民の人としての難民状態方の脱却にはならないことが指摘される。最終章では現在難民状態の脱却方法とされる人道と開発の問題点を指摘する。そして、難民の法的地位の解決方法ではなく、難民状態から脱することが真の解決となることとそのための提案を行う。 |
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フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | VoR | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85 | |||||
学位名 | ||||||
言語 | ja | |||||
学位名 | 博士(政治学) | |||||
学位名(英) | ||||||
言語 | en | |||||
学位名 | Doctor of Philosophy in Political Studies | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||
学位授与機関識別子 | 32606 | |||||
言語 | ja | |||||
学位授与機関名 | 学習院大学 | |||||
学位授与機関(英) | ||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||
学位授与機関識別子 | 32606 | |||||
言語 | en | |||||
学位授与機関名 | Gakushuin University | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2021-01-21 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 32606乙第175号 |