@article{oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:00004976, author = {小野, 泰教 and Ono, Yasunori}, issue = {19}, journal = {言語 文化 社会, Language, Culture and Society}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 本稿は、清末の著名な士大夫でかつ清国初代駐英公使を務めた郭嵩燾(1818- 1891)の『周礼』解釈を題材に、清末知識人における西洋認識と中国思想の結びつきの一端を明らかにすることを目的とする。 本稿が注目するのは、郭の『周礼』解釈のなかでも「九両」概念に関する解釈である。「九両」とは、『周礼』天官・大宰に見られる概念で、王者を補佐する官・大宰が人々の間につながりを生み出すために用いる九つの方法のことを指している。『周礼』の当該箇所の経文は以下のとおりである。九両を以て邦国の民を繫く。一に曰く牧、地を以て民を得。二に曰く長、貴を以て民を得。三に曰く師、賢を以て民を得。四に曰く儒、道を以て民を得。五に曰く宗、族を以て民を得。六に曰く主、利を以て民を得。七に 曰く吏、治を以て民を得。八に曰く友、任を以て民を得、九に曰く藪、富を以て民を得。(以九両繫邦国之民。一曰牧、以地得民、二曰長、以貴得民、三曰師、以賢得民、四曰儒、以道得民、五曰宗、以族得民、六曰主、以利得民、七曰吏、以治得民、八曰友、以任得民、九曰藪、以富得民。)筆者はすでに郭嵩燾の「九両」概念解釈について、西洋のアソシエーションに対する郭の認識との関連で考察を加えたことがある1。ただしそこでは、郭嵩1 拙著『清末中国の士大夫像の形成――郭嵩燾の模索と実践』(東京大学出版会、2018 年)、117-125 頁、147-148 頁を参照。 燾がなぜ西洋のアソシエーションを重視したのかという点に関心が集中したこともあり、「九両」概念自体に対する分析、とりわけ、中国思想史上における「九両」概念の解釈史に対する分析が不十分であった。他のさまざまな解釈との比較においてこそ、はじめて郭嵩燾の「九両」概念の特質がわかるはずであり、郭嵩燾が「九両」との関連で西洋のアソシエーションを捉えたことの意義もより明確になるであろう。また近年、清末知識人の「附会」説についても研究が進んでいるが2、そうした諸研究に対しても、「附会」が具体的にどのような営みであるのかなど、郭嵩燾を事例として新たな知見を提供できるであろう。 本稿では、以上の問題意識に基づいて、まず郭嵩燾が西洋のアソシエーションとの関連で「九両」概念に注目したことを紹介したのち、郭の「九両」概念解釈と他の知識人の解釈との比較を試みる。そしてそのうえであらためて郭嵩燾の「九両」概念解釈の特質を描き出したい。}, pages = {101--118}, title = {郭嵩燾の『周礼』「九両」解釈について}, year = {2021}, yomi = {オノ, ヤスノリ} }