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  1. 学習院大学
  2. 学位論文
  3. 博士(理学)
  4. 2019年度

希ガス凝縮層中に分離した分子クラスターの幾何学的構造と形成・成長過程

http://hdl.handle.net/10959/00004857
http://hdl.handle.net/10959/00004857
5018a51e-13e7-486e-8b85-1ea49dab6444
名前 / ファイル ライセンス アクション
thesis_K284.pdf thesis_K284.pdf (15.0 MB)
abstract_K284.pdf abstract_K284.pdf (217.3 kB)
ref_abstract_K284.pdf ref_abstract_K284.pdf (238.7 kB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2020-02-05
タイトル
タイトル 希ガス凝縮層中に分離した分子クラスターの幾何学的構造と形成・成長過程
言語 ja
タイトル
タイトル キガス ギョウシュクソウ チュウ ニ ブンリ シタ ブンシ クラスター ノ キカガクテキ コウゾウ ト ケイセイ セイチョウ カテイ
言語 ja-Kana
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_db06
資源タイプ doctoral thesis
アクセス権
アクセス権 open access
アクセス権URI http://purl.org/coar/access_right/c_abf2
著者 嶋崎, 陽一

× 嶋崎, 陽一

WEKO 46926

ja 嶋崎, 陽一

ja-Kana シマザキ, ヨウイチ

Search repository
Shimazaki, Yoichi

× Shimazaki, Yoichi

WEKO 46927

en Shimazaki, Yoichi

Search repository
抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 水素結合とvan der Waals (vdW) 結合は,様々な分子集団の構造や物性を決める重要な要素であり,それらの結合を介して形成した分子クラスターの幾何学的構造や形成・成長過程について理解を深めることは,星間物理や大気科学といった物質科学の広い分野においても意義がある。水素結合によって形成した水クラスターは,気相中や低温不活性分子固体(マトリックス)中に試料を作成し,フーリエ変換赤外吸収分光やレーザーを用いた振動回転トンネル分光,マイクロ波分光などの分光手法により研究されてきた。また,第一原理計算や密度汎関数理論 (Density Functional Theory: DFT) 計算を中心とした量子化学計算による理論研究も並行して行われ,分光測定の結果との比較により,クラスターサイズや最安定構造が明らかにされてきた。しかし,準安定構造の生成条件やクラスターサイズ分布を決める要因,クラスターの成長過程については未解決である。また,vdW複合体のひとつである水-メタン複合体の安定構造に関する研究は,量子計算が先行しており,マイクロ波や遠赤外分光による研究がわずかにあるだけで,中赤外領域における分光研究の報告はない。
 本研究では,希ガスマトリックス中に分離したD2Oクラスター及びD2O-CH4複合体のフーリエ変換赤外吸収分光を行った。水クラスターに関しては,温度上昇に伴うクラスターの成長過程,クラスターサイズ分布のD2O濃度及び凝縮速度への依存性,水素結合したOD (Bonded-OD) の伸縮振動数のマトリックス種依存性を明らかにした。水-メタン複合体については,CH4濃度依存性と温度依存性から,中赤外領域における複合体由来の吸収ピークの帰属を決定し,マトリックス中に分離した複合体の幾何学的構造と捕捉サイトを考察した。
 実験に加えて,量子化学計算用プログラムであるGaussian03及び09を用いて,DFT計算を行った.計算手法と基底関数をそれぞれB3LYPと6-311++G(d,p) (以下,「B3LYP/6-311++G(d,p)レベル」と表記) として,単量体から6量体の構造最適化,及び振動数,赤外吸収強度の計算を行った。6量体に関しては,安定構造とされるCage,Book,Prism,Cyclicの4種類の構造異性体について計算した。水-メタン複合体は,水とメタンの結合において水が水素の受容体となる (Water acceptor: WA) 構造と,水素の供与体となる (Water donor: WD) 構造の2種類の異性体の構造最適化及び振動数,赤外吸収強度の計算をB3LYP/6-311++G(d,p)とMPW1PW91/6-311++G(d,p)レベルで行った。
 Arマトリックス中に分離したD2OクラスターのD2O濃度依存性から,D2O濃度が高くなるにつれて大きなクラスターが生成することを示した。DFT計算で求めた振動数とスペクトルに現れたピークの振動数との比較から,6量体の構造はCage型と判断した.さらにD2O濃度依存性と量子計算から,これまで帰属が確かでなかったピークが7量体以上のクラスターによるものであることを示した。
 Arマトリックス中に分離したD2Oクラスターの成長過程を調べるために,34 K以下の温度領域でアニールを繰り返し行った。アニール温度を段階的に上げていくと,温度上昇に伴って単量体の拡散が促進し,より大きなクラスターの成長が観測された.Arマトリックス中には,単量体の捕捉サイトの違いによって,分子の回転が可能な(r-)単量体と回転できずに秤動する(nr-)単量体が存在する。アニールよって,nr-単量体の数はほとんど変化しなかったのに対し,r-単量体は著しく減少したことから,クラスター成長にはr-単量体が寄与していることが明らかになった。また,各アニール温度でクラスター成長が確認されたことから,拡散の活性化障壁がサイトごとに異なることがわかった。アニールによるクラスター成長を定量的に解析するために,吸収ピークの積分強度とDFT計算で求めたBonded-OD伸縮振動の赤外吸収強度を用いて柱密度を見積もり,各クラスターの存在量を比較した。7量体以上のクラスターによる吸収が無視できる25 K以下の温度領域に注目し,単量体から6量体を構成するD2O分子の総数dが保存するという要請に基づき,DFT計算で求めた赤外吸収強度を補正した。その結果,DFT計算で得られる2量体から6量体の赤外吸収強度は,測定値より4倍過大評価されるという結果を得た。補正した赤外吸収強度を用いて算出した各クラスターの柱密度を,アニール温度に対してプロットすると,dが保存する25 K以下の温度領域ではほぼ線形の変化を示した。単量体の拡散のみを考慮し,クラスターの成長が (D2O)k−1 + D2O → (D2O)k という過程 (k = 2-5) で進行するという仮定のもとに解析をしたところ,柱密度のプロットを線形近似して得られる傾きを再現できなかった。この結果から,単量体の拡散に加えて,2量体の拡散もクラスター成長に寄与すると結論した。
 凝縮時の基板温度と試料濃度を一定にし,0.001-9 mmol/hの範囲で凝縮速度を変えて試料を作成した。その結果,凝縮速度が小さくなると,サイズの大きなクラスターが多く生成することが明らかになった.上述のアニール実験で補正した赤外吸収強度を用いて,単量体から6量体の柱密度を求めた結果,上記の凝縮速度の範囲では,凝縮過程におけるD2Oの拡散がクラスターサイズ分布を決める主因であることがわかった。
 Ne,Ar,Kr,Xeマトリックス中に分離したD2Oクラスターの赤外吸収スペクトルを測定したところ,準安定のCyclic-6量体がNeマトリックス中でのみ観測された。また, Xeマトリックス中では,2,3量体の吸収ピークが複数に重なって現れた。これは,Xeの格子定数が相対的に大きいために,2,3量体を捕捉するサイトが複数存在することを示す。さらに,2量体から6量体のBonded-OD伸縮の振動数は,マトリックスを構成する希ガスの原子番号が大きくなるにつれて赤方偏移した。先行研究において,「振動する分子とそれを囲むマトリックス分子とのvdW相互作用によって起こる振動数のシフトは,マトリックス種の臨界温度の平方根に近似的に比例する」というモデルが提唱されている。本研究では,クラスターのBonded-OD伸縮の振動数を,希ガスの臨界温度の平方根に対してプロットし,このモデルが分子クラスターの場合にも適用できることを示した。
 Arマトリックス中に分離したD2OとCH4の赤外吸収スペクトルのCH4濃度依存性を測定し,D2Oの逆対称伸縮領域のr-単量体のピークの低波数側に現れた新たな吸収ピークが,D2O-CH4複合体よるものであることを示した。また,DFT計算で得た振動数との比較から, D2O-CH4複合体はWD構造をとると判断した。さらに,D2O-CH4複合体に由来するピークが,単量体の回転遷移由来のピークと同様に,温度に対して可逆的な変化を示した。このことから,複合体を構成する D2Oは回転していることが明らかになった。D2OをHDOに変えた場合にも同様の結果が得られた。
  以下に結論を述べる。希ガスマトリックス中に分離したD2Oクラスター及びD2O-CH4複合体のフーリエ変換赤外吸収分光を行った。Arマトリックス中に分離したD2OクラスターのD2O濃度依存性とDFT計算で得られた振動数から,6量体の構造はCage型であると判断した。また,これまで帰属がはっきりしていなかったOD伸縮領域のピークが,7量体以上のクラスターに由来することを示した。温度上昇に伴うD2Oクラスターの成長過程を観測し,スペクトルから得た積分強度とDFT計算から得た赤外吸収強度を用いた解析から,クラスター成長には単量体の拡散だけでなく2量体の拡散も寄与すると結論した。クラスターのサイズ分布が,D2O濃度や基板温度だけでなく凝縮速度にも依存することを示し,0.001-9 mmol/hの範囲では,凝縮過程におけるD2Oの拡散がサイズ分布を決める主因であることを明らかにした。Ne,Ar,Kr,Xeマトリックス中に分離したD2OクラスターのBonded-OD 伸縮の振動数は,希ガスの臨界温度の平方根に対し概ね線形に変化することを見出した。また,Xeマトリックス中の2,3量体を捕捉するサイトは複数存在することを示した。Arマトリックス中に単離したD2O-CH4複合体の赤外吸収スペクトルのCH4濃度依存性と温度依存性から,中赤外領域における複合体由来の吸収ピークの帰属を決定した。さらに,DFT計算と分光測定の結果との比較から,複合体はWD構造をとると結論した。これらの系統的な観測と考察により,希ガスマトリックス中に分離した水クラスターの成長過程の理解を大きく進めることができた。また,中赤外領域における水-メタン複合体の先駆的な研究として,分子クラスター研究の新たな局面を切り開いた。
フォーマット
内容記述タイプ Other
内容記述 application/pdf
著者版フラグ
出版タイプ VoR
出版タイプResource http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85
学位名
言語 ja
学位名 博士(理学)
学位名(英)
言語 en
学位名 Doctor of Science
学位授与機関
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32606
言語 ja
学位授与機関名 学習院大学
学位授与機関(英)
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32606
言語 en
学位授与機関名 Gakushuin University
学位授与年月日
学位授与年月日 2019-10-01
学位授与番号
学位授与番号 32606甲第284号
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Ver.1 2023-05-15 15:05:38.907113
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