{"created":"2023-05-15T14:23:41.536953+00:00","id":4723,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"08b3c8cc-22e2-4b90-a897-00c9ff9cfd38"},"_deposit":{"created_by":15,"id":"4723","owners":[15],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"4723"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:00004723","sets":["1253:135:136:1296"]},"author_link":["46932"],"item_10006_date_granted_44":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2019-03-31"}]},"item_10006_degree_grantor_42":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"ja","subitem_degreegrantor_name":"学習院大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"32606","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_10006_degree_grantor_49":{"attribute_name":"学位授与機関(英)","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"en","subitem_degreegrantor_name":"Gakushuin 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が、制御されて局所的に・順番に協調して力発生を行うことにより実現されている。ここで、繊毛を細胞から単離したうえで、一部の重要なタンパク質だけを残した状態でも、このダイニンの制御が行われて繊毛打が維持されるのだ。これは司令塔が無くても、自律的に複雑な波打ち運動を行うことができる、高度なメカニズムが内部に存在することを表す。\nでは、繊毛はどのようにして粘液流を生み出しているのだろうか。棒を前後に動かしただけでは流れが起きないように、剛体の単純な往復運動では一方向性の動きを生み出せないことが、流体力学的な観点から知られている。気管繊毛は、“有効打” と “回復打” から構成される繊毛打を行うが、 “有効打” のフェーズでは繊毛の先端が高い位置を、“回復打” のフェーズでは低い位置を通過することにより、行きと帰りの対称性が破られて一方向性の流れが生み出される (図a挿入図)。では、この繊毛先端の高さ方向の違いとして特徴づけられる非対称性をどのようにして定量化すればよいだろうか。通常の顕微鏡では2次元の観察しか行えないため、有効打と回復打で高さが異なるこの3次元的な運動を、実際の溶液中で時間とともに正確に記録した報告はなされていない。特に、生体内を模した高粘度環境下でどのような形状変化を行うのかはよくわかっていなかった。\n本論文では、なぜ気管繊毛が高粘度環境下で粘液流を生み出す機能を果たせるのかを明らかにするため、外力に対する応答を評価した。そのために、速度に依存する抵抗力である粘性抵抗力と、ばねのような変位に依存する抵抗力を生み出すことができる光ピンセットという技術を用いて、繊毛に外力を与えたときの繊毛先端の動きを “3次元的” に測定した (図b)。\n \n顕微鏡の構築\n第2章では、3次元トラッキングと、3次元力測定を実現するための顕微鏡法について述べる。溶液中の微粒子を集光したレーザー光を用いて捕捉する技術である “光ピンセット” に対し、私たちの研究室で独自に開発された3次元位置検出顕微鏡を適用させた。これにより、試料にプローブとなるポリスチレンビーズを付着させることにより、ナノメートルオーダーの空間分解能とミリ秒オーダーの時間分解能を併せ持った3次元力測定を実現した。\n単離マウス気管繊毛の先端の動きの3次元追跡と数理モデルによる解析\n第3章では、気管繊毛1本の動きを取得するための実験系とその測定結果について述べる。私は、硫酸 (Sulfate) 基で修飾されたポリスチレンビーズが非特異的に繊毛の先端に付着することを発見した。この技術を用いると、繊毛先端にプローブとなる蛍光ビーズを付着させることができ、繊毛先端の動きを3次元位置検出顕微鏡を用いて追跡することが可能となる。溶液の粘度を変えた状態で繊毛先端の動きの3次元測定をしたところ、さまざまな条件下で繊毛の先端が有効打と回復打の高さの差を維持することを発見した。この高さの差の維持は、繊毛が非対称性を維持するという頑健性を表している。私は、数理モデルと組み合わせることにより、さまざまな条件下でこの高さの差を維持するという繊毛の性質が、有効な流れを生み出すことに重要であることを見出した。\n光ピンセットによる、単離マウス気管繊毛の顕微操作\n第4章では、繊毛1本に対して光ピンセットを適用することにより、繊毛に対して3次元的に制御された強い外力を与えた時のふるまいを解析した。先述のように繊毛は自己組織化されたマシナリーである。特に、繊毛は内部にある分子モーター “ダイニン” の発生する力学的なエネルギーのみを用いてダイニン自体の力発生が制御されていることが解っている。すなわち、繊毛の自己組織化された動きには、“力” を介したメカニカルなシグナルがかかわっていることが強く示唆されているのだ。では、繊毛に人為的に外力を与えると繊毛内部のダイニンの制御はどのように攪乱されるのだろうか。繊毛に強い外力を与えるために、私はこの測定システムに光ピンセットを組み合わせたうえで、繊毛先端のビーズを捕捉した。光ピンセットは、ビーズをばね型ポテンシャルで捕捉する技術であるので、その抵抗力は捕捉中心からどれだけ離れたかに依存し (増張力性) その速度には依存しない。私は、この増張力性の負荷をかけた時の繊毛の動きを解析した。驚くべきことに、繊毛を捕捉すると繊毛先端の動きは直線状に上下運動するように変化した。このとき、繊毛軸糸の形状変化は大きく制限されてほとんど形状変化ができない状態であったのにもかかわらず、この振動は一定の周期を維持していただけでなく有効打・回復打に相当するような2つの異なるフェーズから成り立っていた。この振る舞いは、繊毛がその形状変化をどんなに強く制限されても、有効打と回復打のフェーズを保つロバスト性をもつことを示唆する。\n私は、この高精度測定と数理モデルを併用することにより、複雑な超分子マシナリーを解析していくという方法を今後も発展させたいと考えている。さらに、サンプルの化学状態を可視化する蛍光プローブを組み合わせることにより、他の生体内の超分子マシナリーの化学力学共役の可視化に挑戦していきたい。\n","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_description_32":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_10006_dissertation_number_45":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"32606甲第278号"}]},"item_10006_version_type_33":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85","subitem_version_type":"VoR"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"open 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