@phdthesis{oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:00004307, author = {武田, 晃司 and Takeda, Koji}, month = {2018-02-26, 2021-12-09, 2021-12-09}, note = {消化管は食べたものを消化し、栄養や水分を吸収する重要な器官であるが、さらに加えて、摂取した食物の情報を感知するとともに、その情報に応答する独自の神経系や免疫系を有している。摂取した食物の感知には自由神経終末だけでなく、消化管全体に散在する内分泌細胞が重要な役割を果たしていると考えられている。消化管内分泌細胞は、消化管の上皮に散在し、ペプチドホルモンを産生する細胞で、哺乳類から昆虫まで広く保存されている。産生されたホルモンは血液中へ送り出され、脳や他器官に作用する。ショウジョウバエを用いた研究では、中腸内分泌細胞には産生するホルモンの種類によってサブタイプが存在し、また中腸の領域によって発現が異なることが報告されている。しかし、領域特異的な発現をする各種の中腸ホルモンが腸自身や他器官や全身へどのように影響しているのか不明な点が多い。そこで我々は、これらの中腸ホルモンの組織老化や個体の寿命に対する影響について解析を試みた。本研究では、ショウジョウバエ成虫の中腸後方部において内分泌細胞の異なるサブタイプで産生されるAllatostatin-A(AstA)とDiuretic hormone 31(Dh31)の2つのペプチドホルモンに着目した。まず、両サブタイプの分布を観察したところ、両者の密度は中腸後方部内の前後軸に沿って逆勾配を作っていた。AstAをノックダウンした場合は、寿命が短命化し、その個体の中腸を解剖し観察してみると早期老化症状が観察された。一方、Dh31ノックダウンでは、個体の寿命が延び、中腸の老化も遅延した。また、これらのホルモンの受容体を中腸でノックダウンした場合には、組織老化については同様の表現型が見られたが、個体寿命については効果が得られなかった。従って、中腸への作用は直接的であり、寿命への効果は中腸の老化とは独立である。一方、中腸以外の老化への効果を調べた結果、雄の内部生殖器の一部である附属腺に対しては、Dh31をノックダウンした場合、中腸とは逆に老化の促進が観察された。このこと、ならびに他の結果も総合して、Dh31による組織老化制御はインスリンに依存しないと考えられる。以上の結果から、正常な中腸に対してAstAは、直接的に老化を抑えるホルモンで、反対にDh31は直接的に老化を促進するホルモンであることが示唆された。さらに、附属腺の老化が中腸での応答と異なることから、中腸ホルモンは、インスリンのように各組織の老化に対して一義的に機能するのではなく、組織特異的な効果を与える性質があると考えられる。以上から、中腸において産生細胞の局在性を異にする2種のホルモンが、拮抗的な性質を見せる機能=寿命老化制御を組織特異的に果たしていることが明らかとなり、これはインスリンに代表されるような全身性の仕組みとは異なる、新しい寿命老化制御の仕組みであると考えられる。, application/pdf}, school = {学習院大学, Gakushuin University}, title = {ショウジョウバエ中腸ホルモンAstA/Dh31による中腸組織老化と個体寿命の拮抗的制御}, year = {}, yomi = {タケダ, コウジ} }