@phdthesis{oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:00004216, author = {藤村, 章子 and Fujimura, Shoko}, month = {2017-07-08, 2021-12-09}, note = {キネシンは生体内で微小管に結合し、微小管のレールに沿って小胞体を運ぶ役割がある。キネシンの微小管上での運動メカニズムは、1985年にキネシンが発見されて以来、光学顕微鏡を用いて多くのことが解明されてきた。キネシンが注目される理由は、生体内で重要な役割があるだけでなくアデノシン三リン酸を加水分解することで化学反応のエネルギーを力学的なエネルギーに変換させて運動するためである。キネシンは2量体で、2つのヘッドと呼ぶ部位を交互に微小管に結合させながら8~nmずつ1方向に運動する。この30年間でこのようなナノメートルレベルでの変位をリアルタイムで知ることができる光学顕微鏡が開発されてきた。私たちのグループでは2008年に1量体キネシンが駆動する微小管の運動を3次元で可視化する光学顕微鏡を開発した(3次元位置検出顕微鏡)。また、偏光やエバネッセント場といった光学を利用する観察方法も開発している。このような技術を利用して、活性がある状態での微小管キネシン系の運動を知ることと、化学状態を測定する系の構築が今回のテーマである。第一章では、微小管を駆動するシングルヘッドキネシンの力発生について調べる。具体的には、N末端を変異させたミュータントを用いて、3次元位置検出顕微鏡で観察したことについて説明する。1量体キネシンが微小管に及ぼす力は、微小管の長軸方向だけでなく垂直な方向にも力を及ぼしている。そのため、1量体キネシンをつかった微小管のグライディングアッセイでは、微小管は一定の速度で左に回転しながら並進する運動(以降コークスクリュー運動と呼ぶ)をする。コークスクリュー運動は2量体キネシンでは見られない。目的は、1量体キネシンにしただけでどうしてこのような運動をするか、である。そのためキネシンの変異体を用いることで分子機構に踏み込んで説明できるかを試みた。以下実験方法と結果である。キネシンの力発生にはN末端のネックリンカーが重要であることがわかっている。しかしネックリンカーを削除すると運動性自体も損なう可能性がある。そのためネックリンカーと相互作用するC末端のカバーストランドを変異させたミュータントを4つ作成した。微小管に結合させた量子ドット(以降QDと呼ぶ)を3次元位置検出顕微鏡を用いて観察した。その結果、QDの3次元トラッキングからすべてのミュータントが微小管を左らせんに回転させたことがわかった。また、シングルヘッドキネシンのワイルドタイプ(以降WTと呼ぶ)に比べてすべてのミュータントで30%~80%並進速度が遅くなった。このことからカバーストランドがトルク発生の分子機構の一部であることがわかった。また、回転のピッチについては減少したミュータントと増加したミュータントがあった。そこで回転方向に負荷をかけるためにダブルヘッドキネシンをシングルヘッドキネシンのミュータントに混ぜ、比率を変えて同様の実験を行った。この結果は本文で詳細に述べる。第二章では、光学顕微鏡を使った蛍光色素の1分子イメージングの測定において2つの問題を提起する。1つ目の問題は、測定技術の問題である。蛍光色素の向きは人工的に固定することができないため、実験ではキャリブレーションできなかった。今回、理論的に確立されているデフォーカス法を、実験結果を用いた角度のキャリブレーションを行った。2つ目の問題は、基質に蛍光色素を結合し、化学変化のそ過程での酵素の構造変化を測定する実験で、蛍光色素と基質は酵素にどのように結合するかがわからないことである。基質に比べて大きな色素分子が酵素の活性を阻害しないようにするには、どのような結合様式を取るかを知る必要がある。1つ目の問題では、モータータンパク質の微小管キネシンの系を用いて色素を回転させることで実験でのキャリブレーションを行った。回転方法は第1章で説明した微小管のコークスクリュー運動で、そこに微小管の基質であるグアノシン三リン酸(以降GTPと呼ぶ)のアナログであるTAMRA-GTPでまばらに微小管をラベルし、コークスクリュー運動を観察した。コークスクリュー運動の回転に伴い、蛍光色素TAMRAも一定速度で回転する。その結果、色素一分子のデフォーカス像から角度のレファレンスを作ることができた。また、微小管の長軸に対する蛍光色素TAMRAの振動双極子モーメントの向きがわかり、その向きにバリエーションがあることもわかった。2つ目の問題を解決するために、上記で使ったTAMRA-ヌクレオチドと微小管を構成するtubulinたんぱく質のドッキングシミュレーションを行った。ドッキングシミュレーションはタンパク質とリガンドの結合をエネルギー計算から予測する方法である。ドッキングシミュレーションの結果、結合した色素の角度は1分子実験の結果である微小管の長軸に対する蛍光色素TAMRAの振動双極子モーメントの向きと一致した。この結果からヌクレオチドから微小管の内側にリンカーが伸び、TAMRAが微小管の内側に存在することがわかった。計算された結合様式から、1分子実験の結果である振動双極子モーメントの向きのバリエーションには、ヌクレオチド状態の違いが含まれることが示唆された。, application/pdf}, school = {学習院大学, Gakushuin University}, title = {全反射型蛍光顕微鏡による微小管キネシン系の運動性の一分子イメージング解析}, year = {}, yomi = {フジムラ, ショウコ} }