@article{oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:00000395, author = {米山, 正樹 and Yoneyama, Masaki}, issue = {1}, journal = {學習院大學經濟論集, The journal of Faculty of Economics, Gakushuin University}, month = {Apr}, note = {application/pdf, 本稿のねらいは、一連の論孜における議論をもとに,米国財務会計基準審議会(FinancialAccounting Standards Board, FASB)の基準書第114号(FASB[1993])を分析することにある。よく知られているとおり,この基準書には,金銭債権の減損に関する詳細な記述が含まれている。同基準書の特徴を指摘するとともに,特徴のそれぞれが一連の論放を貫く基本的なスタンスと整合的なものかどうか,言い換えれば,「投資のねらい」に適う業績評価という観点から導かれてくるものかどうかを確かめてみたい。 さて基準書第114号の特徴は,第一に,「当初の実効金利」による割引現在価値まで不良債権の評価を切り下げるところに見出される。資金の回収に困難が生じたにもかかわらず,それ以前から用いられてきた「当初の実効金利」で将来キャッシュフローを割り引く理由は,理解が容易なものとはいいがたい。実際,この基準書に対しては,「当初の実効金利」による割引現在価値に経験的な解釈を与えるのは困難という批判が向けられることも少なくない。しかし一連の論孜に共通のスタンスからすれば,基準書第114号のようなやりかたにも十分な意義を見出すことができる。「当初の実効金利」がどういう「投資のねらい」と対応しているのか,後に詳述する予定となっている。 続いては第二の特徴であるが,これは減損が生じた時点の切り下げについて,基準書第114号が例外的な計算手続を容認しているところに求められる。客観的な市場価格が存在する場合は,不良債権それ自体,あるいは担保物件の市場価格をもとに簿価を修正するやりかたも認めているのである。一見したところ,これらの市場価格は「当初の実効金利」による割引現在価値の単純なサロゲートにもみえる。しかし基準書第114号の記述をつぶさに確かめてみると,容認されている時価への切り下げは,特定の「投資のねらい」と不完全ながら対応していることが理解できる。そのかぎりでいうなら,基準書第114号は,問題は残るものの,「ねらい」に適うような業績評価のしくみを指向しているようにもみえる。この点についても,後に改めて詳しく論じることになっている。 最後に,第三の特徴は,減損以降の業績評価をめぐる基準書第114号の記述(および第114号を修正するために公表された第118号の記述)に認められる。基準書第114号はそもそも,切り下げた簿価をもとに「当初の実効金利」による利息法を継続するよう求めていた。減損以降もそれ以前と同様,時の経過とともに未収利息を計上することになっていたのである。これに対し,第118号は,実際にキャッシュフローが生じたかどうかを重視する業績測定のしくみ(「原価回収法」や「現金基準」)への移行を容認することとなった。つまり「当初の実効金利」で割り引いたからといって,同じ「当初の実効金利」で利息収益を計上するのは必然ではないという立場が採られたのである。このような改正の経緯を「投資のねらい」以外の視点から解釈しようとすると,さしあたっては「政治的な妥協の産物」や「過渡期の経過的な措i:」など,必ずしも十分とはいえない論拠しか見出せない。これに対し,「ねらい」に適うような業績評価という,一連の論放に共通するスタンスから基準書第118号による改IEを意義づけようとすれば,理論的な問題の次元においての議論が可能となってくる。これまでの議論を「ものさし」としたとき,基準書第118号による改訂には積極的に評価できる側面と否定的な側面が共存している旨を指摘できるようになるのである。具体的にどのような意義や問題点が導かれてくるのかについては,本稿の最後に論じることとする。}, pages = {103--118}, title = {不良債権をめぐる米国のルール : FASB基準書第114号および第118号}, volume = {36}, year = {1999}, yomi = {ヨネヤマ, マサキ} }