{"created":"2023-05-15T14:23:14.287648+00:00","id":3890,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"356b4303-9c14-4396-8b8d-c71880b109bc"},"_deposit":{"created_by":15,"id":"3890","owners":[15],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3890"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:00003890","sets":["1253:135:146:1318"]},"author_link":["37587"],"item_10006_date_granted_44":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2017-03-31"}]},"item_10006_degree_grantor_42":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"ja","subitem_degreegrantor_name":"学習院大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"32606","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_10006_degree_grantor_49":{"attribute_name":"学位授与機関(英)","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"en","subitem_degreegrantor_name":"Gakushuin 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て、帰結的生存が実現するだろう、という議論を織り交ぜている。それは、同意なき所有権取得の議論、所有権取得の制限の議論、貨幣導入とトリクルダウン理論といった別々の論点の中において、生存権の保全や促進を示唆するものである。すなわち、ロックの労働所有権論は、それが深度化する過程において、生存権の基礎があまり意識されなくなりつつも、生存権という論点をその眼中から完全に放擲したわけではないのである。以上のことから、論理的には生存権から所有権が非連続的な部分があるにもかかわらず、内容的には一貫して所有権が生存権に寄与するという、ロックの見解を見ることができる。第3章では、子どもの生存権に注目する。ロックは、子どもの生存権を実現する手段として、子どもが両親から扶養される権利があると言う。ロックによれば、自然的に弱く生まれた子どもには、自然権として(親から)扶養される権利があると言う。また、この扶養される権利を基礎として、親の死後に子どもが親の所有権を継承取得する相続権が擁護される。しかし、ロックの労働所有権論に立ち返ってみると、子どもが成人し自活できる場合には、親の財産によってではなく自らの労働によって生存権を実現することが、標準的な生存権実現の方法だと考えられる。すなわち、子どもが成人している場合、子どもの生存権を基礎とした扶養される権利によってでは、相続権は論理上擁護できないことになる。ロックは、この場合の相続権擁護論として、親の遺贈の意志を推定し得るだろうという論拠を提示している。しかし、この遺贈の意志の推定という論拠は、子どもの生存権を基礎とはしていない。ここに、所有権と同様に相続権の根拠においても、生存権擁護という議論を見せつつも生存権とは別の 続権の根拠においても、生存権擁護という議論を見せつつも生存権とは別の根拠を含むというロックの議論を見ることができる。第4章では、困窮者の生存権に注目する。ロックは、一方で労働によって所有権を取得することで自活することを原則的な生存権実現の方法として叙述しているが、他方で自活できない人々の生存権については別の枠組みを用意している。その例外的な枠組みとして困窮者の生存権を確保する方法が、ロックの言う「慈愛の権利」である(それに対応する「慈愛の義務」がある)。「慈愛の義務」は、ロック自身の分類によって、条件付きの義務(不完全義務)だとされている。それゆえ、あくまでも自発的な善意や良心に委ねられた、政治権力による強制には馴染まないものである。しかし同時に、ロックは最も不幸な境遇にある人々への救済は、実定法が配慮すべき事柄だとも述べ、ごく限定的ながらも法的な困窮者救済の可能性も示唆するものであった。 思想史的に見ると、困窮者の生存権を論じることは、ロックに特有のことというわけではない。先行者としてはアクィナス、グロティウス、セルデン、同時代人としてはプーフェンドルフ、ティレルなどの自然法思想家によっても、困窮者の生存権の問題は語られていた。だが、それを富裕者か困窮への財の移転という枠組みで捉え、そうした財の移転を権利と義務との対応によって語るという点は、プーフェンドルやロックの議論において提示されたもであった。ロックにおける「慈愛の権利」は、それ自体は不完全権であり自発的な行為に留まるものである。しかし、慈愛という(富裕者から困窮への)財の移転の枠組みに着想を得た実定法が制されることは、ロ 裕者から困窮への)財移転枠組みに着想を得た実定法が制されることは、ロックのいう政治社会におて十分あり得ることである。第三の問いは、第5章に相当する。第5章では前章までに 見たロックの権利論における生存権をより良く実現する方法を探る。そのために、 ロック自身の議論に対する批判的考察と、ロックの生存権概念に若干の修正を加えることを提案する。批判的考察としては、第2章から第4章の分析を踏まえて、生存権から所有権を導くことの論理的必然性が弱いこ、扶養される権利や相続が(過少と過多の両面で)著しく不平等であり、「慈愛の権利」が生存要請を満たしていなこと、以上を指摘する。それらを踏まえて 、ロックの生存権について、すべての人の生存を確保できるようなものへと修正を試みる。第一の修正点は、ロックが生存権内容として挙げた「生活の便宜を享受する権利」を、「生活必需品への権利」という対物的な権利へと言い換えることである。第二の修正点は、富裕者から困窮者への財の移転を実定法で定めるということである。これは、ロック自身の議論においてものそ可能性は提示されていたが(第4章を参照)、より広範な保障を意図するものである。こうした修正提案は、部分的にロック自身の見解から離れるものである。しかし、生まれながらの権利としての生存権の実現、実定法による政治権力の恣意性の排除、人類保全の第一自然法の実現への寄与といった点は、 ロック自身も重視する部分である。したがって、この修正提案はロックの生存権をより良きものにすると思われる。以上のように本稿では、ロック権利論において、基底的でありながらも影に隠れがちだった生存権という概念に光をあてた。これにより、ロックの個人主義的かつ自由主義的な政治博士(哲学)のなかに見られる個人の生命の尊重という態度を、改めて明らかにした。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_description_32":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_10006_dissertation_number_45":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"32606甲第262号"}]},"item_10006_version_type_33":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85","subitem_version_type":"VoR"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"open access","subitem_access_right_uri":"http://purl.org/coar/access_right/c_abf2"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"渡邊, 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