@phdthesis{oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:00003879, author = {大森, 規央 and Omori, Kio}, month = {2015-11-13, 2021-12-09, 2021-12-09}, note = {低温の金属基板への蒸着により作成したアルキルベンゼン系化合物のガラス状態は、蒸着直後の密度や昇温に伴う緩和過程が蒸着温度Tdに大きく依存することが光干渉を利用した解析により報告されている。しかし、この解析には多くの仮定を用いる必要があるという問題があった。また、これまで蒸着分子性ガラス内の局所安定構造を考える上での基本要素である二量体の安定構造を量子化学計算により調べる研究が行われていたが、それらも従来の方法では得られる結果が初期構造に依存するという問題があった。そのため、光学実験としては偏光解析法(エリプソメトリー)を導入し、量子化学計算としてはGRRM (Global Reaction Route Mapping) という新しいプログラムを併用した計算を行い、実験と計算の2つの視点から蒸着分子性ガラスの研究を行った。エリプソメトリーでは、補償子付き回転検光子型エリプソメトリーに必要な光学部品を既存の真空チェンバーに装着し、蒸着ガラスの膜厚d、屈折率nのTd依存性を調べた。試料には光干渉法で調べられていたエチルベンゼン(EB)を用い、基板はAu基板およびSi基板を用いた。その結果、過去の実験とは蒸着速度や膜厚が異なるが、蒸着直後のdやn、さらに構造緩和による挙動がTdに依存する点は、過去の結果と同様に見られた。しかし、Si基板を用いた場合、光干渉法による結果とは異なり、高いTdの試料の蒸着直後の密度が過冷却液体の密度の外挿線の値に近くなるという新しい結果が得られた。また、過冷却液体状態は、Au基板の高温蒸着試料では明確に観測されず、低温蒸着試料においてもガラス転移後3 K程度の温度範囲でしか観測されなかった。一方、Si基板では10 K程度の広い温度範囲で過冷却液体状態を観測できたが、液体-液体緩和とされていた現象は再現されなかった。量子化学計算においては、ベンゼン(BZ)、トルエン(TL)、EBの二量体構造の系統的な探索を行った。計算レベルMP2/6-31Gを用いた結果では、BZは3種、TLは23種、EBは36 種の平衡構造(EQ)をもつことを見出した。それぞれの構造をMP2/6-311++G(d,p)で最適化すると、EQはBZで3種、TLで11種となった。EBについては現在計算を継続中である。これらの計算の結果、アルキルベンゼン系化合物の二量体では、π/π型の相互作用よりもCH/π型の相互作用を2つ含む構造の方が安定であることがわかった。また、ガラス状態を形成しないBZと比べてTLとEBが多様な二量体を作ることは、これらの化合物がガラス状態を形成しやすい性質という事実と強く関係するとともに、液体急冷法では到達できない高密度な状態が蒸着法によって形成されることを理解する糸口となると考えられる。, application/pdf}, school = {学習院大学, Gakushuin University}, title = {蒸着分子性ガラスの特性 : 偏光解析法および量子化学計算による研究}, year = {}, yomi = {オオモリ, キオ} }