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  1. 学習院大学
  2. 学位論文
  3. 博士(英語英米文学)
  4. 2024年度

シェイクスピア喜劇における結婚とセクシュアリティ

http://hdl.handle.net/10959/0002003001
http://hdl.handle.net/10959/0002003001
bec4e01a-a556-4653-87a4-56007b7dde38
名前 / ファイル ライセンス アクション
abstract_K332.pdf abstract_K332.pdf (412.7 KB)
ref_abstract_K332.pdf ref_abstract_K332.pdf (378 KB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2024-12-04
タイトル
タイトル Marriage and Sexuality in Shakespeare Comedies
言語 en
タイトル
タイトル シェイクスピア喜劇における結婚とセクシュアリティ
言語 ja
言語
言語 eng
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_db06
資源タイプ doctoral thesis
アクセス権
アクセス権 open access
アクセス権URI http://purl.org/coar/access_right/c_abf2
著者 神山, さふみ

× 神山, さふみ

ja 神山, さふみ

ja-Kana カミヤマ, サフミ

en Kamiyama, Safumi

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抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 本論文は、結婚やセクシュアリティに関する初期近代イングランドの制度や規範と、シェイクスピア喜劇との関係を論じた。シェイクスピアの喜劇は未婚の男女が結ばれる大団円を有しており、ホモソーシャルな規範をもつ未婚者たちがヘテロセクシュアルな夫婦関係を形成するまでのプロセスが描かれている。各劇の背景には、初期近代イングランドの制度(議会制定法や教会法、コモンロー)や家父長制があり、これらは劇と分かちがたく結びついている。シェイクスピア喜劇の結婚を巡る物語は、こうした既存の制度や規範が定めた「正常な」、異性愛的欲望と「そこから逃げ出そう」ともがく「正常に反する」クィアな欲望が交わり編み出されている。
シェイクスピア時代のイングランドは、社会的流動性が高く、仕事と新しい出会いを求めて故郷を離れ、ロンドンに移住してきた多くの若者たちは、ホモソーシャルな環境の中で、「貧困」や「結婚したいけれどもできない」という社会不安を抱いて日々の仕事に勤しんでいた。シェイクスピアの喜劇には、現実世界の若者と同じ社会不安を抱えた未婚者が数多く登場する。
これまでのシェイクスピア喜劇の結婚やセクシュアリティに関する議論は、性的アイデンティティを端緒とし、異性愛/同性愛の二元論的な権力構造から行われてきた。しかしこの構造は、異性愛と同性愛との中間で揺れ動く欲望を包括して議論することができない。また、こうした議論は結婚という観点において、同時代の制度と密接に関連しているにも関わらず、未婚者の欲望の在り方とそれをコントロールする制度との関係という視点からは分析されてこなかった。そこで、異性愛/同性愛という二元論を脱構築するクィア理論を、再生産を担う結婚の領域に適用し、未婚者たちの流動性のある欲望の在り方とシェイクスピア時代の制度――例えば家父長制――を関連づけることが、本論文の目的の一つであった。
本論文におけるもうひとつの目的は、「正常に反する」立場に立つクィア理論とは対照的に、異性愛規範を「正常」と定める新歴史主義を適用し、結婚やセクシュアリティに関する同時代の制度とシェイクスピア喜劇の関係を分析する。これは、貧しい娘や、社会の枠組みから堕ちかけている者たちは、異性愛規範に取り込まれようとする傾向が見られるからである。
本論文では、これらの目的と関連性の高い作品を5つ選び、劇に導入されている顕著な混乱 (劇作上の仕掛けや設定) に注目して4章に分け、各章内に混乱を共有する劇を2つずつ用いて論及した。まず、第1章の混乱の要素、「貧困」において、浮浪者の異性愛的欲望と制定法の関係を、一方、貧しい未婚女性労働者が異性愛規範に固執する意味と浮浪取締法との関係を新歴史主義により論じた。第2章の混乱、「じゃじゃ馬」においては、『じゃじゃ馬ならし』の夫の「飼いならし」と婚姻法との関係を新歴史主義により、『空騒ぎ』のベッドフェローの「飼いならし」と家父長制との関係をクィア理論により議論した。第3章の混乱、「異性装」において、ヒロインが両性具有を経て結婚に至るプロセスと家父長制や制定法との関係を、第4章の「土壇場で捨てられた娘」では、女同士の友情やレズビアニズムと家父長制との関係をクィア理論を援用し、議論した。
本論文で扱った5つの喜劇は、『じゃじゃ馬ならし』、『ヴェニスの商人』、『空騒ぎ』、『お気に召すまま』、『終わりよければすべてよし』である。
第1章で論じた「貧困」のうち、『じゃじゃ馬ならし』では、未婚の浮浪者スライは女性に扮した小姓と結婚するように謀られる。制定法により、浮浪者の子どもは救貧扶助の対象であったため、浮浪者の結婚は教区民から疎まれており、結婚できなかったという冷徹な現実をスライは突きつけられる (14 Eliz. c. 5) 。一方、『お気に召すまま』では、私生児として生まれた貧しい未婚労働者たちが社会的地位の少し高い男性の妻になる意義を論じた。同時代の婚姻法では口約束だけで婚姻契約を結ぶことができたため、身籠った後、捨てられるケースもあった。勤勉な娘たちは純潔に固執し、合法的結婚を強く望み、求愛されて家父長制に参入する。
第2章で論じた「じゃじゃ馬」のうち、『じゃじゃ馬ならし』のケイトは、独身主義者であったが、当時女性には相続権がなかったため、未婚を貫くと浮浪者に堕ちてしまうことに気づき劇中盤で異性愛規範に従うようになる。夫ペトルーチオの過激な「飼いならし」は、批評家の注目の的だったが、この場面は劇中劇として演じられている。「規範に則った妻」の有りようは、家父長制について観客に再考させる場面であったと考えられる。一方、『空騒ぎ』のビアトリスは、従妹でベッドフェローのヒーローの教育により、自分自身を馴らし、ベネディックと結婚する。異性愛/同性愛の二元論を脱構築する女同士の同衾は、家父長制の枠組みの中で機能し、純潔を重視する家父長制が利用する慣習であり、その一方で、家父長制を弱体化させる可能性もある、というベッドフェローと家父長制の奇妙 (クイア) な関係を見出した。
第3章で論じた「異性装」のうち、『お気に召すまま』では、ロザリンドが男装する。従姉妹でベッドフェローのシーリアとロザリンドの関係からは、レズビアニズムが流露されるが、異性愛的欲望も提示され、脱構築につながる。二人は同時に結婚し、結婚後も続く女同士の友情関係を示唆する。一方、『ヴェニスの商人』では、バサーニオを巡るアントーニオとポーシアの欲望 (三角関係) を同時代の社会背景から議論したことに新規性がある。法廷で法学博士に扮して両性具有を演じたポーシアは、バイセクシュアルなバサーニオを魅了し、脱構築をしながら結婚に至る。アントーニオとバサーニオの男同士の同性愛的関係はソドミー法 (25 Hen. 8. c. 6) によって禁止されており、アントーニオは大団円には加われなかった。
第4章で論じた「土壇場で捨てられた女」のうち、『空騒ぎ』では、ビアトリスはヒーローを捨てたクローディオの裏切りに憤り、ベネディックとの結婚を捨て、ヒーローと共に未婚者として苦難の道を歩むことを決意する。そんなベッドフェローの強い絆を是認し、男同士の友情よりも女同士の友情と連帯を優先し、自分もその一員に加わろうとする新しいタイプの男性ベネディックの有りようを論じた。一方、『終わりよければすべてよし』では、ヘレンは病を治癒し、国王と交わり、その寵愛を得てバートラムと結婚した。夫に捨てられた後は、ダイアナと女同士の親密な関係を築き、彼女の助けによりバートラムとの関係を修復したことは異性愛/同性愛の二元論の脱構築につながり、ヘレンがバイセクシュアルであったと指摘した。
本論文では、人文主義者たちが賞賛していた男同士の友情にあわせて、近年注目されるようになった女同士の友情と性愛も論じた。男同士の同性愛は、制度上禁じられていたが、女性の同性愛には法的規制はなかった。シェイクスピアの劇世界においても、男同士の親密な友情は、最終的に家父長制には許容されないが、女同士の友情 (ベッドフェロー) は、「貞淑」を重視する家父長制の考え方と合致し許容されていたことを論じたことは新規な点である。この関係は、家父長制社会に安心感を与える一方で、レズビアニズムを仄めかす。さらに、家父長制の女性嫌悪 (ミソジニー) が立ち上がるとき、女同士の連帯を形成し、家父長制を揺るがす可能性もある。女同士のベッドフェローと家父長制の関係は、まさしくクィアな関係であることも指摘した。
こうしたテーマの研究は、既婚者の性愛にも応用できるほか、同時代のシェイクスピア以外の劇作家の作品でも論じることができよう。加えて、シェイクスピア時代の医学の言説には 双同説 (ワンセックス・モデル) があり、欲望の在り方や性別、ジェンダーの概念に揺らぎがあった。これは、今日の我々の概念に近かったと考えてよい。この事実を踏まえると、制度や規範の異なる時代や地域の中で、どのような脚色が施されて400年以上も前の劇が上演されているのか、という研究への発展も期待される。
本論文では、未婚の男女が結ばれ大団円で終わるシェイクスピア喜劇を対象として、ホモソーシャルな規範を有する未婚者たちが、ヘテロセクシュアルな結婚に至るまでのプロセスに表出する欲望と、同時代の制度や規範がどのように連関しているかを論じるために、議会制定法や教会法、コモンローをはじめとするイングランドの制度や規範、家父長制を緻密に調べた。そのうえで、異性愛規範を「正常」と定義する新歴史主義の視座と、対照的に「正常に反する」クィア理論の視座からセクシュアリティと制度の関係を論じた。そして本論文では、これまで看過されていた貧しい者たちに注目し、シェイクスピア時代の未婚のワーキング・ウーマンたちが、純潔に固執し合法的な婚姻契約を希求する意味を指摘するとともに、また、女同士の親密な関係に注目し、女同士のベッドフェローと家父長制は「互いに支え合いながら、弱体化させる」というクィアな関係にあった、という歴史的特異性を見出した。この二点に、これまでの研究にはない、本論文の特徴と独自性がある。
フォーマット
内容記述タイプ Other
内容記述 application/pdf
出版タイプ
出版タイプ VoR
出版タイプResource http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85
学位名
言語 ja
学位名 博士(英語英米文学)
学位名
言語 en
学位名 Doctor of Philosophy in English Language and Literature
item_10006_degree_grantor_42
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32606
言語 ja
学位授与機関名 学習院大学
item_10006_degree_grantor_49
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32606
言語 en
学位授与機関名 Gakushuin University
学位授与年月日
学位授与年月日 2024-10-01
dissertation_number
学位授与番号 32606甲第332号
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Ver.1 2024-12-04 05:56:55.223908
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