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  1. 学習院大学
  2. 学位論文
  3. 博士(臨床心理学)
  4. 2023年度

児童養護施設におけるユング派プレイセラピー : その有効性と3つのコミットメント

http://hdl.handle.net/10959/0002002668
http://hdl.handle.net/10959/0002002668
1662454b-a845-433e-a8e4-7907daf85807
名前 / ファイル ライセンス アクション
abstract_K319.pdf abstract_K319.pdf
ref_abstract_K319.pdf ref_abstract_K319.pdf
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2023-10-27
タイトル
タイトル 児童養護施設におけるユング派プレイセラピー : その有効性と3つのコミットメント
言語 ja
タイトル
タイトル ジドウ ヨウゴ シセツ ニオケル ユングハ プレイセラピー ソノ ユウコウセイ ト 3ツ ノ コミットメント
言語 ja-Kana
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_db06
資源タイプ doctoral thesis
アクセス権
アクセス権 open access
アクセス権URI http://purl.org/coar/access_right/c_abf2
著者 江野, 肇

× 江野, 肇

ja 江野, 肇

ja-Kana エノ, ハジメ

en Eno, Hajime

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抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 本論文では,現代日本の児童養護施設におけるユング派プレイセラピーの有効性について検討することを試みた。
第I部は序論であり,日本の児童養護施設やその入所児童の実際,および,そこで働く心理職の課題や,期待される心理療法について整理し,本論における研究課題の設定をおこなった。
I部1章では,本論のテーマである日本の児童養護施設の歴史や概要,そこでの心理職の現状や課題についてまとめた。今後の児童養護施設は,児童を養育する機能にとどまらず,特別なケアニーズを持つ様々な状態像を示す児童に対して高度専門的な手厚いケアをおこなうこと,および,地域の子育ての包括的な相談・支援センターとしての機能を担っていくことが求められており,心理職の活躍が益々期待されていると考えられた。また,心理職の役割として,総合環境療法を基に施設の生活の中に入り込み生活自体を治療的にしていく働き方が主軸となっているが,同時に,医学モデルや教育モデルによる支援の限界を超えるために「個別心理療法」の実施も同時に期待されていると考えられた。
I部2章では,児童養護施設入所児童の抱えている問題について,「行動化」という視点から具体的にまとめた。そこでは,彼らの行動化の背景にある「内側に抱えられない苦痛や困難」として,彼らの生きる中での「三重の傷つき」,および,「特別な愛情や関わりの希求」や「否定されることの恐怖」といった「心理的な問題」が整理された。また,彼らの「主体の側のキャパシティ」の問題についても考察し,この二つの問題が入所児童の行動化の多さを引き起こしていると考えた。児童養護施設では,この二つの問題双方に有効な「個別心理療法」の実施が求められていると思われたが,セラピストがクライエントの生活に入らざるを得ないなど様々な理由で「心理療法の枠が成立しにくい場」であり,さらに,若く経験の浅い初心者の心理職が多いという児童養護施設の現状を鑑みると,個別心理療法の実施にあたっては様々な困難があると考えられた。このような状況にもかかわらず,児童養護施設における個別心理療法実施についての課題について真正面から取り上げ,心理職の葛藤や具体的な工夫を扱った先行研究は少ない。そこで筆者は,ここまで述べてきたことから,児童養護施設の個別心理療法に求められる条件として,①広い年齢層の児童,言語能力の拙い児童にも適用可能なこと,②被虐待児,特にネグレクトによる入所児童に有効なこと,③「成熟モデル」「自然モデル」に基づいた狭義の個別心理療法であること,④「三重の傷つき」や「特別な愛情や関わりの希求」,「否定されることの恐怖」といった,彼らの行動化の背景にある「内に抱えられない苦痛や困難」をケアできること,⑤苦痛や困難を抱えるための主体を立ち上げ,「主体の側のキャパシティ」も広げることができること,⑥「心理療法の枠」が成立しにくい場でも適用できること,⑦「総合環境療法」との両立が可能であり,多職種連携で有用であること,⑧「若く経験の浅い」心理職にも実施可能であること,の8つを設定し,今後の検討の基礎とした。
I部3章では,児童養護施設において有効な心理療法を探求するとともに,各学派や技法の課題について考察した。先に設定した8つの条件を鑑みると,昨今隆盛を誇っている「トラウマに注目するアプローチ」は,狭義の虐待の影響によるPTSD症状を持つ児童以外には第一選択ではないと考えられた。一方で、「プレイセラピー(遊戯療法/play therapy)」の有効性が推測されたが,言語を媒介としないという特性上これまで研究に乗りにくく誤解されやいことが課題であると考えられた。日本でも研究が積み重ねられて生きているクライン派のセラピーは,技法や治療機序が明確に示され,児童養護施設および施設入所児童に対する有効性が論理的に示されていた。しかしやはり,クライン派のセラピーにも限界や短所が考えられたため,各学派のプレイセラピーの特徴や治療機序を整理して呈示することで,それぞれの違いも含めて議論を重ねていくことの重要性が認められた。特に,児童養護施設においては,各学派が事例研究に基づいて,プレイセラピーの中で,セラピストが何をおこなっているのか,それが入所児童の「行動化」にどのように有効性を発揮するのか,を明示する必要があると考えられた。
I部4章では,「ユング派」のプレイセラピーの可能性に着目し,世界および日本におけるユング派のプレイセラピーの現状を整理した上で,それが,日本の児童養護施設において有効性をもつ可能性について指摘した。そこで,日本におけるユング派心理療法の特徴を,「枠の重視」「イメージの重視」「対決の重視」の3つに整理し,このような特徴をもつ「ユング派プレイセラピー」の児童養護施設における有効性を事例研究を通して明らかにすることを本論の目的とした。本論における【検討課題I】として,「プレイセラピーの実際,特にセラピーの中でセラピストが何をおこなっているのかについて,ユング派プレイセラピーの観点から記述し,その特徴を明らかにすることを試みる。」,および,【検討課題II】として,「ユング派プレイセラピーの児童養護施設入所児童の問題への有効性を検討し,特に,ユング派プレイセラピーが児童養護施設において,どのようなメリットをもつのか検討する。」を設定した。
第II部は事例研究であり,筆者が実際に出会った5人のクライエントとのプレイセラピーについての事例研究を通して,【検討課題I・II】について考察した。第II部は,筆者の既刊の論文が基となっており,第II部第1章は江野(2020),第2章は江野(2021-b),第3章は江野(2022-a),第4章は江野(2021-a),第5章は江野(2018)を,それぞれ本論文のために加筆・修正したものであった。
第III部では総合的考察をおこない,本論全体の議論を総括し,ユング派プレイセラピーの特徴と,児童養護施設におけるユング派プレイセラピーの有効性についてまとめ,本研究の限界と今後の展望を示した。
【検討課題I】に対する【結論I】として本論では,『ユング派プレイセラピーとは,「イメージへのコミットメント」「対決へのコミットメント」「枠へのコミットメント」という3つのコミットメントをおこなうことによって,クライエントの変容の場を提供していく心理療法である』と結論した。なお,「イメージへのコミットメント」とは,クライエントが表現したイメージに対して,①「セラピストがイメージにそのまま入り込み体験していくこと」,および,②「セラピストがイメージの意味を考え反復や変化を追っていくこと」の2つの方向性に深くコミットメントしていくことである。また,「対決へのコミットメント」とは,クライエントと一緒に等身大で真剣に遊ぶ中で,①「セラピストがクライエントの世界にぶつかり巻き込まれること」,および,②「セラピストが自分自身やクライエントと真剣に向き合い対決していくこと」を通して深くコミットメントしていくことを指す。そして,「枠へのコミットメント」(=ユング派プレイセラピーの前提となる「心理療法の枠」をつくりだすために,①「外的な枠をつくり続けること」,および,②「内的な枠を成立させること」によって,「枠」にコミットメントしていくことである。
【検討課題II】に対する【結論II】として,ユング派プレイセラピーが、児童養護施設入所児童に適用されること,および,児童養護施設において実施されることのメリットとして,以下の7点を指摘した。すなわち,①プレイセラピー自体の「遊びを媒介とする」特徴から,広い年齢層かつ言語能力の拙い児童にも適用可能であり,入所児童の行動化の背景にある「内に抱えられない苦痛や困難」に対して,「否定されることの恐怖」を刺激せずに非侵襲的に導入でき,「特別な愛情や関わりの希求」も満たすことでモチベーションが維持しやすい。 ②「イメージ」や「対決」を通して,「三重の傷つき」や「運命へのプロテスト」のような言語で表現し得ないレベルでの感情や体験も含めた「世界の共有」をおこなうことで,入所児童の行動化の背景にある「内に抱えられない苦痛や困難」をケアできる。 ③イメージが主訴との同型性を示した上で,自律的に展開して主訴も改善するため,セラピストがクライエントの表現の意味を歪めて理解する危険性が低く,また,事前にクライエントの「内に抱えられない苦痛や困難」を十分にアセスメントできなかったとしてもセラピーが導入できる。 ④「イメージ」や「対決」を通して,クライエントの「主体の確立」が達成され,「主体の側のキャパシティ」の問題が解決される可能性を秘めている。 ⑤「枠が成立しにくい場」でも,「枠へのコミットメント」によってオーダーメイドの「心理療法の枠」を成立させていくことができる。 ⑥プレイセラピーの中でセラピストが実感をもって感じ取ったクライエントの主訴や行動化の背景にあるこころの動きを,日常生活を支援するCWとは少し異なる視点から「見立て」つつも,CWと共通して体験している感情や葛藤に基づいて説明することができる。 ⑦若く経験の浅いセラピストの側の成長や心理療法に対する理解の深化を促すとともに,若く経験の浅いセラピストならではのコミットメントが治療的に働く可能性を秘めている。 の7点である。
以上,様々な限界はありつつも,本論のようにユング派プレイセラピーで,セラピストが何をおこなっているのかを明確にし,その児童養護施設における有効性を検証した研究は,他に見られないため,本論の新規性は高いと思われた。現在も児童虐待相談件数は増加し続けており,彼らの抱える問題の複雑化はとどまるところを知らない。今後の児童養護施設には,特別なケアニーズを持つ入所児童への高度専門的なケアを実現しつつ,地域における子ども・子育ての幅広い問題への支援にも積極的に乗り出し,一人でも多くの子ども達を救っていく責務がある。本研究は,ユング派プレイセラピーという,児童養護施設の心理支援の中でも非常に狭い領域についての研究ではあるが,本論の問題提起に基づいて,広く児童養護施設における心理支援全般についての議論が活発化し,特に,各学派のプレイセラピーの特徴の明確化や児童養護施設における有効性についての対話が深まっていくことが期待される。
フォーマット
内容記述タイプ Other
内容記述 application/pdf
著者版フラグ
出版タイプ VoR
出版タイプResource http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85
学位名
言語 ja
学位名 博士(臨床心理学)
学位名(英)
言語 en
学位名 Doctor of Philosophy in Clinical Psychology
学位授与機関
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32606
言語 ja
学位授与機関名 学習院大学
学位授与機関(英)
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32606
言語 en
学位授与機関名 Gakushuin University
学位授与年月日
学位授与年月日 2023-10-01
学位授与番号
学位授与番号 32606甲第319号
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Ver.1 2023-10-27 00:35:15.286734
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