{"created":"2023-07-17T05:28:56.330609+00:00","id":2002563,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"27c0c732-d3f6-4a05-a05e-ad8b33551442"},"_deposit":{"created_by":15,"id":"2002563","owners":[15],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2002563"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:02002563","sets":["1253:135:136:1689567490401"]},"author_link":[],"item_10006_date_granted_44":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2023-03-31"}]},"item_10006_degree_grantor_42":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"ja","subitem_degreegrantor_name":"学習院大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"32606","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_10006_degree_grantor_49":{"attribute_name":"学位授与機関(英)","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"en","subitem_degreegrantor_name":"Gakushuin 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nmの紫外光によってミセル内部のtrans-スチルベンを励起すると,水和電子とtrans-スチルベンのSn←S1遷移に帰属される吸収帯が観測された.グローバル解析の結果から,水和電子の寿命はSDSおよびDTACのミセル水溶液中において,本実験で測定できる時間領域よりも長く,3 nsまたはそれ以上であると見積もられた.この結果から,ミセルによってラジカルカチオンが閉じ込められ,水和電子が長寿命化している可能性を強く示唆した.また,700 – 800 nmにおいて,水和電子の吸収帯は150 – 280 fsで立ち上がっていることがわかった.そのため,ミセル中で生成した電子が水相へ移動するのにかかる時間は150 – 280 fsであることが示唆された.本測定において,界面活性剤がもつ電荷の違いによる有意な差は観測されなかった.\nミセル中でのS1 trans-スチルベンの寿命から,光異性化反応の速度定数を算出した.この反応の速度定数は,溶媒の粘度とよい相関を示す.ドデカン中で測定された光異性化反応の速度定数と比較することで,ミセル内部の粘度を評価した.SDSミセル中およびDTACミセル中におけるS1状態にあるtrans-スチルベンの寿命はそれぞれ102 psおよび107 psであり,ドデカン中での測定結果(100 ps)と一致した.この結果から,SDSおよびDTACのミセル内部の粘度はドデカン中とほぼ等しいことがわかった.\n\n第三章では,ミセルに可溶化させる分子として3-メチルインドールを選択した場合の結果を示し,ミセル内部で生成した電子が水相へ移動して溶媒和されるまでの過程について考察した.ミセル中に封入したtrans-スチルベンを光励起すると,水和電子の吸収帯の一部とtrans-スチルベンのS1状態による吸収帯が重なってしまい,電子の溶媒和過程を詳細に解析することが困難であった.インドールは,水中でのイオン化ポテンシャルが4.35 eVと比較的低く,250 nmの紫外光を照射すると一光子光イオン化反応が進行する.また,インドールのSn←S1バンドは400 nmよりも短波長に位置し,電子の吸収帯と重ならない.本実験では,水に可溶なインドールに疎水性のメチル基を導入した3-メチルインドールをSDSおよびDTACのミセルに可溶化させた.250 nmの紫外光でミセル中の3-メチルインドールを励起したところ,低エネルギー側から電子の吸収帯が立ち上がる様子をS/Nよく観測することができた.励起光強度を変えて測定を行ったところ,ミセル中での3-メチルインドールの光イオン化は一光子過程で進行することがわかった.解析の結果から,ミセル中で生成した電子は320 fs以内に水相へ移動していると考えられる.また,界面活性剤の電荷の違いによって水相へ放出されるまでの時間に有意な差は観測されなかった.水相へと移動した電子は,その後430 – 510 fsで水分子に溶媒和される.水の二光子光イオン化反応や,ヨウ化物イオンの溶媒への電荷移動(CTTS)過程によってバルクの水中で生成した電子の溶媒和時間は500 – 540 fsと報告されており,本研究の結果と一致する.そのため,ミセル内部で生成した電子は,非常に短い時間で水相へ放出され,バルクで生成した場合と同様に水分子によって溶媒和されると考えられる.本実験では,ピコ秒領域で減衰する水和電子の信号を観測していない.これは,ミセルがカチオンを閉じ込めることによって電子との対再結合が阻害され,長寿命の水和電子を生成できたことを強く示唆している.\n\n第四章で,著者が行った研究を総括した.フェムト秒時間分解可視近赤外分光法によって,ミセル中に可溶化させた芳香族分子の光イオン化反応と光異性化反応を観測し,ミセル中で生成した電子の水相での溶媒和過程を解明するとともにミセル内部の粘度を評価することができた.ミセル内部に封入した分子の光イオン化によって,長寿命の水和電子を効率よく生成させる可能性を強く示唆する結果が得られた.また,アルキル基で構成されたミセル内部の粘度は,炭素鎖長の等しいアルカンの粘度とほぼ一致することがわかった.","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_description_32":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_10006_dissertation_number_45":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"32606甲第315号"}]},"item_10006_version_type_33":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85","subitem_version_type":"VoR"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"open 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