{"created":"2023-07-17T05:28:56.321718+00:00","id":2002562,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"088f5513-d74b-4a0e-8156-109d531b3a2a"},"_deposit":{"created_by":15,"id":"2002562","owners":[15],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2002562"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:glim-re.repo.nii.ac.jp:02002562","sets":["1253:135:136:1689567490401"]},"author_link":[],"item_10006_date_granted_44":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2023-03-31"}]},"item_10006_degree_grantor_42":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"ja","subitem_degreegrantor_name":"学習院大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"32606","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_10006_degree_grantor_49":{"attribute_name":"学位授与機関(英)","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"en","subitem_degreegrantor_name":"Gakushuin 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本章では、アシルシランの光異性化で生じるカルベン種と有機ホウ素化合物とのカップリング反応を活用したトランス縮環骨格構築法に関する研究を展開することとし、まず、この方法論の基盤となる、反応基質の効率的な合成経路の開拓について検討を実施した。合成の鍵は、アシルシラン部位の前駆体となる部分構造を如何に迅速かつ効率的に構築するかであり、様々な検討の結果、入手容易な出発物質から、鈴木−宮浦クロスカップリング反応を活用する合成経路により、既存の合成手法より短行程で高収率な合成手法を確立することに成功した。\n さらに、この手法で合成した化合物を反応基質とした光環化反応についても検討を行い、中性条件で光を照射するだけで望みの反応が立体特異的に進行し、高度に歪んだトランス縮環炭素骨格をも収率よく構築できることを明らかとした。\n\n\n第二章\n 序論\n 炭素の2価化学種であるカルベンは、広く合成化学で用いられている化学種であり、その高い反応性ゆえ、他の化学種では実現できない反応を起こすユニークな反応活性種である。カルベンの発生手法は多岐に渡るが、ハロアルカン類の強塩基性条件下でのα脱離を経るものや、ジアゾ化合物やジアジリンなどの光あるいは熱による分解反応など、非可逆的な手法がほとんどである。\n 一方、第一章の研究でも活用したアシルシランは、カルボニル基に直接ケイ素置換基が結合した化合物であり、適切な波長を用いた光励起によって、対応するシロキシカルベンを発生できることが知られている。この反応は可逆反応であり、適切なカルベン捕捉剤が存在しない場合は、熱的に原系のアシルシランに戻る。このカルベン生成手法は、合成及び取り扱いが容易なアシルシランから中性条件下でカルベンを発生できるという特徴をもち、有機ホウ素化合物や、カルボニル化合物など、求電子性の高い有機分子との反応に活用されているものの、電子求引性基等をもたない、単純アルキン等の不飽和分子との分子間反応は報告されていなかった。\n\n第二章本論\n 前述の背景のもと本章では、アシルシランの光異性化により生じるシロキシカルベンと単純なアルキン類との分子間カップリング反応を実現することができれば、シロキシカルベンの新しい合成化学的利用法を開拓できると共に、不飽和カルボニル化合物等の有用合成中間体を簡便に供給可能な合成手法を提供できると考え、検討を行うこととした。この際、シロキシカルベンは単純アルキンと直接反応するに足る十分な反応性をもたないと判断し、適切な金属触媒によりアルキンを求電子的に活性化することでこれを実現することを考えた。\nまず、反応基質となるアシルシランとして、芳香族置換基をもつアロイルシランを選択し、アルキンとの反応を、各種金属塩の存在下、光照射する条件にて検討を行った。その結果、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)-トルエン錯体を用いた際に、痕跡量ながら、両基質が反応したと考えられるエノン、イノン、インデノンが得られることを見出した。\n次に、アシルシランをアルカノイルシランへと変更し、同様にアルキンとの反応を試みたところ、上述のトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)-トルエン錯体を反応系に加え光照射を行うと、目的の分子間カップリング反応が位置選択的に、系の複雑化を伴うことなく進行することが明らかとなった。この反応の進行には光と銅塩の両方が必須であり、反応機構としては、光異性化で生じたシロキシカルベンの求核攻撃が、銅塩によって求電子的に活性化されたアルキンに対して進行する形式と推定された。\nなお、この検討を行う中で、市販のトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)-トルエン錯体を用いると、ロットによっては目的の反応が進行しなくなるという問題に直面した。この問題は、市販品を用いることなく、文献記載の手法を参考に適切に調製・保管された錯体を用いることで解決でき、本反応の再現性を確保することができた。\n 最後に、基質適用範囲に関する検討を行った。アルカノイルシランに関しては、配位性官能基を持たない限り、良好な収率で目的のカップリング反応が進行することが明らかとなった。一方、アルキンについては、三重結合の隣接位に芳香族置換基を持ち、かつ、配位性官能基を持たない基質を用いれば、一般性良く目的の反応が良好な収率で進行することを見出した。これらの反応の生成物である末端無置換の-不飽和カルボニル化合物は、合成素子として有用な化合物である。\n\n 以上、本研究では、アシルシランの光異性化によって生じるシロキシカルベンを活用する新たな合成手法の開発検討を行い、第一章では1,2-メタレート転位を基盤戦略とするトランス縮環炭素骨格手法を確立し、また第二章では、光と銅錯体との協同作用に基づくアルカノイルシランとアルキンとの分子間カップリング反応を実現した。\n これらの成果は、これまで合成化学に十分に活用されていなかった短寿命化学種であるシロキシカルベンを用いた新たな形式の反応として学術的に意義あるばかりでなく、シロキシカルベンの合成化学的利用価値をさらに高め、関連分野の発展に寄与する成果と考える。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_description_32":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_10006_dissertation_number_45":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"32606甲第316号"}]},"item_10006_version_type_33":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85","subitem_version_type":"VoR"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"open access","subitem_access_right_uri":"http://purl.org/coar/access_right/c_abf2"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"山口, 航平","creatorNameLang":"ja"},{"creatorName":"ヤマグチ, 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