ログイン
言語:

WEKO3

  • トップ
  • ランキング
To
lat lon distance
To

Field does not validate



インデックスリンク

インデックスツリー

メールアドレスを入力してください。

WEKO

One fine body…

WEKO

One fine body…

アイテム

  1. 学習院大学
  2. 学位論文
  3. 博士(史学)
  4. 2022年度

写本『出雲国風土記』の研究

http://hdl.handle.net/10959/0002002555
http://hdl.handle.net/10959/0002002555
7c14fc80-b344-4fe2-a204-0f593de4d9d9
名前 / ファイル ライセンス アクション
abstract_O181.pdf abstract_O181.pdf
ref_abstract_O181.pdf ref_abstract_O181.pdf
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2023-07-17
タイトル
タイトル 写本『出雲国風土記』の研究
言語 ja
タイトル
タイトル シャホン イズモノクニ フドキ ノ ケンキュウ
言語 ja-Kana
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_db06
資源タイプ doctoral thesis
アクセス権
アクセス権 open access
アクセス権URI http://purl.org/coar/access_right/c_abf2
著者 髙橋, 周

× 髙橋, 周

ja 髙橋, 周

ja-Kana タカハシ, シュウ

en Takahashi, Shu

Search repository
抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 『出雲国風土記』は和銅六(七一三)年詔を機に、出雲国造出雲臣広島らによって天平五(七三三)年にまとめられた。『出雲国風土記』の現存写本で年紀が明らかな最古本に慶長二(一五九七)年書写の細川家本がある。以下、近世・近代を通して、『出雲国風土記』は書写され続け、現存写本は二一〇冊を超える。
 『出雲国風土記』の写本をめぐる先行研究においては「脱落本」「補訂本」といった概括的な体裁に基づいて捉えられ、各写本間でいかなる系譜関係が存在するのか注目されることはなかった。さらに、書写の歴史的背景についても、ほとんど言及されることはなかった。
 そこで、本研究は現存する『出雲国風土記』の写本を可能な限りに悉皆調査し、各写本間の系譜関係を明らかにすることを主たる目的とする。その上で、写本間の関係に加えて、各写本の書写の目的について考察し、近世に『出雲国風土記』が求められた歴史的背景を明らかにするものである。その系譜関係を検討する方法は、主に本文異同の比較を中心に進める。細川家本、倉野家本、日御碕神社本、八雲軒本、郷原家本、『出雲風土記鈔』の各本文間で異なる字句約二〇〇〇か所を抽出し、それらの字句との異同の一致、不一致の関係性の多寡から写本間の遠近を求めた。写本間の異同を定点的に比較することで、当該写本の全体的な系譜的な位置を捉えることができると考える。
 本研究は序章、第一部、第二部、終章の構成とした。
序章では先行研究の様相と課題、本研究の目的を提示した。
第一部では『出雲国風土記』の写本のうち「脱落本」系統の写本に着目して、系譜関係と書写の史的背景を考察した。  第一部第一章「細川家本・倉野家本系統の諸本について」では、年紀が明らかな現存最古本である細川家本と、室町末期の写本とされる倉野家本の写本系統を検討した。細川家本の親本は徳川家康旧蔵本「内府本」で、細川家本が書写された慶長二年に家康は『豊後国風土記』や『常陸国風土記』を借用しており、細川家本の書写もかかる動向に関わると指摘した。次いで倉野家本について、旧蔵者の毛呂義郷に注目した。その筆致から義郷による校合が推定され、さらには本文も義郷による書写の可能性を指摘した。また、本文異同の関係から、細川家本・倉野家本と同系統の諸本(小栗家本・河村家本・島根県古代文化センター本の「対校本」・宮本氏本)の存在と書写の背景に言及した。
第一部第二章「蓬左文庫本・日御碕神社本とその展開」では、初代尾張藩主徳川義直旧蔵の蓬左文庫本と、義直が出雲日御碕神社へ寄進した日御碕神社本、そして、日御碕神社本の後継本である榊原家本や西教寺本などの諸本について検討した。蓬左文庫本については細川家本系統の諸本との関係性、日御碕神社本については、寄進の背景に幕府儒官林羅山が介在したと指摘し、日御碕神社本の特徴の符号や付訓は、羅山による補入であることを示した。そして、羅山が手沢本として日御碕神社本を転写し、羅山の門弟やその周辺で日御碕神社本の後継本が展開した様相を示した。こうした林家周辺での展開は羅山による神儒一致思想が背景にあることも述べた。
第一部第三章「春木文庫本・三井文庫本系統の諸本」では、林家周辺から派生した写本のうち、伊勢あるいは江戸を中心に伝写された諸本を検討した。伊勢に『出雲国風土記』が伝えられた背景にも、神儒一致論によって中世以来の伊勢における仏教的神道説からの脱却を図る動向があったと述べた。他方、伊勢へ伝写された諸本の祖本の系統が江戸で引き続き展開し、「関祖衡本」や紅葉山文庫本へつながることを示した。
第一部第四章「西教寺本系統の諸本」では、林家の周辺で書写された諸本のうち、西教寺本に近い写本を祖本とする系統について考察した。西教寺本は近江芦浦観音寺・舜興の旧蔵書であり、この系統の後継本が京都を中心に伝写されることを明らかにした。
第一部第五章から第一〇章にかけては、京都を中心に伝写された松下氏本系統の諸本を検討した。松下氏本系統は西教寺本の後継である。第五章「松下氏本系統の諸本①」では松下氏本系統の祖本に近い写本を検討し、祖本は一七世紀後半までには書写されたと推定した。第六章「松下氏本系統の諸本②」では「松下見林本」を祖本とする奥書を持つ諸本を中心に検討し、享保一二(一七二七)年書写の「厳覚伝領本」系と享保一〇年校正の「天忠校正本」の二系統に分かれることを示した。第七章「松下氏本系統の諸本③」では「二条吉忠本」と徳大寺家本に近い写本を祖本とする系統を考察し、内大臣二条吉忠の所持本を起点に京都から伊勢へ、公卿から町人、寺僧、神官へと伝写された様相や、京都下鴨神社(賀茂御祖神社)・鴨佑之の周辺で写本が展開した様相を捉えた。第八章「松下氏本系統の諸本④」では吉田氏本を祖本とする系統を検討した。第九章「松下氏本系統の諸本⑤」では古田氏本を中心とする諸本の系統について考察し、古田氏本は寛政一〇(一七九八)年から豊後岡藩で始まった『豊後国志』編纂に関わる写本と明らかにした。古田氏本における永仁・文禄の奥書については、古田氏本の兄弟本である狩谷棭斎旧蔵本が『豊後国風土記』の合本であることから、書写の際に『豊後国風土記』本文のみが抜き出され、奥書が『出雲国風土記』へ竄入したと指摘した。さらに、古田氏本と狩谷氏本の親本「賀茂真淵蔵本」の後継本が屋代弘賢を中心に展開したこと、その祖本は京都の堂上家に由来することも明らかにした。第一〇章「松下氏本系統の諸本⑥」では、京都月読社の松室家に関わる写本が祖本に近い系統を考察し、一七世紀後半には書写されたと述べた。
第二部では、出雲地域を中心に、近世の神社に対して『出雲国風土記』が与えた影響、地域における『出雲国風土記』の写本伝写の様相について考察した。それとともに、補訂本に分類される『出雲風土記鈔』や『万葉緯』所収「出雲国風土記」について、その成立や展開について考えた。
第二部第一章「近世前期の出雲における神社と『出雲国風土記』」では、出雲地域の複数の神社に残る『出雲国風土記』の条文や神名などを記した棟札を中心に考察した。かかる棟札は寛文末年から延宝年間を中心に認められ、その出現の背景には松江藩社頭の杵築大社における寛文度遷宮で神仏分離がなされたことで、「古代」への意識が高まったことがあると述べた。出雲国造は出雲国内の神社を統括する出雲国惣検校の宣旨を受け、『出雲国風土記』は古代の出雲国造による神社支配を示す根拠として重要視されていく。そうした一連の動向の中心的な役割を果たしたのが、杵築大社上官・佐草自清であり、近世出雲における『出雲国風土記』の再受容にも重要な役割を果たしたと述べた。
第二部第二章「中世出雲と『出雲国風土記』」では、中世出雲における『出雲国風土記』の受容の様相について考察した。近年確認された中世出雲での受容を窺える史料を検討し、部分的な情報が出雲にもたらされたか、風土記に載る伝承の一部が出雲で語られ続けたのか、かかるあり方を推定した。したがって、書物としての『出雲国風土記』は近世に至り受容されたため、出雲国内の神社で風土記の神が出現したと述べた。
第二部第三章「近世出雲における『出雲国風土記』の写本とその系譜」では、近世出雲で流布した『出雲国風土記』の写本について検討し、日御碕神社本から直接的に派生した写本、郷原家本などの岸崎時照に関わる写本、佐草自清の「自清本」を祖本に近い写本とする杵築大社などの社家で伝写された写本の三系統に分類できるとした。特に、岸崎時照に関わる写本と「自清本」に関わる写本の系統が出雲で多く認められ、両系統はともに伊勢に由来すると指摘した。その背景には、杵築大社の寛文度遷宮において大社は伊勢神宮を意識し、参考としての書物がもたらされたことにあると述べた。補論①では、かかる背景を裏付ける写本に出雲図書館本を検討し、伊勢と出雲の両様の特徴を持つ写本とした。また、補論②では、出雲国造北島道孝(一六七〇~一七三〇)の手沢本と考えられる写本を検討した。同写本は京都での書写が推定され、山崎闇斎の所持本と近い関係にあることを明らかにした。当時、杵築大社は佐太神社との神社支配をめぐる争論で敗れ、失地回復のために山崎闇斎の学問を受容した時期であり、かかる背景を反映した写本と述べた。また、書き込みを通し、北島国造家における風土記研究の様相も検討した。
第二部第四章「近世出雲における『出雲風土記鈔』の成立と展開」では、補訂本の写本と位置付けられる『出雲風土記鈔』について考察した。『出雲風土記鈔』は天和三(一六八三)年に岸崎時照が著した『出雲国風土記』の注釈書で、本文の検討から、その底本は岸崎の手沢本とされる郷原家本や対校本の高野宮本に近い写本であることを明らかにした。また、その成立の背景についても述べ、成立後には少なくとも三系統に分かれることを歴史的背景も踏まえて考察した。
第二部第五章「出雲から広がる『出雲国風土記』の写本」では。近世において出雲から全国各地へ展開したとみられる諸本を検討した。美保神社の横山家本と、杵築大社儒官の松井守正所持本の後継本がこれに当たり、近世における出雲と他地域の文化的な交流を背景にしたと述べた。
第二部第六章「万葉緯本の成立とその系譜」では、補訂本の写本と位置付けられる『万葉緯』所収「出雲国風土記」(以下、万葉緯本)について検討した。万葉緯本は編者の今井似閑の没後に京都・上賀茂神社(賀茂別雷神社)の三手文庫に奉納され、その後継本の他、稿本系の写本も存在することを明らかにした。その一つには『万葉緯』跋文を記した江戸の伊庭種季との関係が推定される写本の系統があり、さらに、万葉緯本の初稿本を祖本とする東大法学部所蔵の万葉緯本の系統もあることを示した。そして、その初稿本の祖本は、「契沖校本」であったと述べた。その上で、稿本系の写本の祖本は脱落本であり、杵築大社と関わる「自清本」の系譜にある横山家本などと近いことを示し、万葉緯本の序に記された出雲「国造文庫秘本」とする由来は単なる伝聞ではないと述べた。
第二部第七章「脱落本系「万葉緯本」の系譜」では、『万葉緯』の一冊として書写されるが、補訂本ではなく、脱落本に類する諸本を検討した。かかる脱落本系「万葉緯本」は同一の祖本に由来し、複数の系統に分かれて転写されたことを明らかにした。そして、その成立においては、小沢蘆庵(一七二三~一八〇一)が大坂四天王寺明静院にあった稿本系『万葉緯』を書写する際に差し替えたことに起因し、蘆庵の多くの門弟や交友関係を持つ人々を通して、上方の堂上家や国学者を中心に脱落本系「万葉緯本」が展開したと述べた。
第二部第八章「谷川士清本系統の諸本―小再脱落本の来歴―」では、加藤義成が林崎文庫本を例として「小再脱落本」と位置付けた諸本を検討した。この系統の直接的な祖本は、谷川士清が元文四(一七三九)年に書写校閲した専修寺本であり、その祖本は脱落本系の「関祖衡本」であると述べた。この谷川士清の所持本を書写したのが本居宣長で。本居宣長本には一部補訂が認められることから、加藤義成は「小再脱落本」と捉えた。しかしながら、この補訂は谷川士清が寛保三(一七四三)年に万葉緯本で校合したことに伴うものであり、補訂の際に改写した写本「谷川士本」が「小再脱落本」の祖本と捉えた。
終章では、全体のまとめとして、本研究の論点をまとめた。
『出雲国風土記』の現存写本は、これまで「脱落本」「補訂本」あるいは「小再脱落本」の概括的な分類で理解されてきたが、本研究を通して、その全ての写本が共通の祖本に由来し、系譜的にも連続することを具体的に明らかにできた。
そして、『出雲国風土記』の写本は出雲だけでなく、伊勢、京都、江戸、大坂など各地で伝写されたことを示し、それぞれの書写や所持において多様な背景があったことを明らかにした。写本の書写や所持の背景を見ると、『出雲国風土記』が示す「古代出雲」に対する近世の人々の文化的な感心や、近世における「古代出雲」の再受容の様相が垣間見えるのである。
フォーマット
内容記述タイプ Other
内容記述 application/pdf
著者版フラグ
出版タイプ VoR
出版タイプResource http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85
学位名
言語 ja
学位名 博士(史学)
学位名(英)
言語 en
学位名 Doctor of Philosophy in History
学位授与機関
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32606
言語 ja
学位授与機関名 学習院大学
学位授与機関(英)
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32606
言語 en
学位授与機関名 Gakushuin University
学位授与年月日
学位授与年月日 2023-01-26
学位授与番号
学位授与番号 32606乙第181号
戻る
0
views
See details
Views

Versions

Ver.1 2023-07-17 05:28:40.078124
Show All versions

Share

Mendeley Twitter Facebook Print Addthis

Cite as

エクスポート

OAI-PMH
  • OAI-PMH JPCOAR 2.0
  • OAI-PMH JPCOAR 1.0
  • OAI-PMH DublinCore
  • OAI-PMH DDI
Other Formats
  • JSON
  • BIBTEX

Confirm


Powered by WEKO3


Powered by WEKO3